「阪神大震災を体験して」
患者さんの体験記


【匿名】

 今回の震災での幾多の困難を乗り越えて、透析を続けて下さった院長はじめクリニックの皆さんに深く感謝申し上げます。
 地震では拙宅は地盤が堅かったのと、断層の筋から外れたので、損害は極く軽徹ですみました。水やガスが止まって風呂に入れなかったのは、どちら様とも同じで我慢できることでした。交通 機関の不通と、過度の交通規制には閉口しました。
 住居は先ず第一に、人々を外敵(自然現象も含めて)から守る、シェルター(避難所)でなければなりません。ところがこの度の地震では五五〇〇余人の人々が亡くなり、その90%が家屋倒壊による圧死であった。即ち、シェルターに殺されたと云う不幸な現象です。
 今度の災害地には大小無数の断層が走ったのでしょう。大断層の真上に居たら、人力は自然の怪力には勝てぬ でしょう。然しその他の場合は、地震の直下型の上下揺れや、又横摺れにも耐えて、危険のない、強国な住宅を研究し、建造することが、建築業の責任であると、業界の一端にいる者として反省しています強国な住宅を建てる条件としては

1. 建築敷地を事前に、埋立地、軟弱地、沖積地、傾斜地、或は硬圏な地盤かを調査して、それに適した工法を考えねばならぬ 。
2. 建物の大きさ、高さ、部屋割り、開口部などを考えて、使用部材を選定し、充分な強度あるものを使用せねばならぬ 。
3. 地中基礎の深さ、大きさ。その基礎と建築土台との結合。一階と二階の結合、二階と屋根部分の結合を強国にすること。(この結合が不充分だったり、結合が弱かった為に、一階の根元から傾いたり、一階がペッチャンコになってその上に二階が一階の様に居座ったのが沢山あった。)
4. 屋根部分に大きな重量を掛けぬこと。土台部分、柱壁面 、屋根と強度重量のバランスを考え、屋根は重くない方が良い。 (昔の屋根にドロ土を置き瓦を固定する工法の和風建築は、屋根の重さに耐えられず、挫折する家が非常に多かった。)


 等々と色々問題点があり、今後大いに研究し、地震にも台風にも耐え得る住宅を建築せねばならぬ 。今回の地震にはツーパイフォー工法や、プレハブが耐震力が比較的あった様だ。
 価格破壊とかで、常識外の安値の単価での受注では、安心出来る住宅は建たない。やはりしっかりしに長持ちする住宅を建てることが肝心だと思います。

 

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阪神大震災報告 (c)1995医療法人平生会 宮本クリニック