「阪神大震災を体験して」
|
【匿名】
その日は、いつもの様に熟睡していた。睡眠が命の次に大事な自分にとっては、とても快適な時間であった。ところが、午前六時ちょっと前、何か大きな物音がして、寝床が、ガタガタと揺れ始めた。私は、また、母親と兄貴のけんかが始まったかな?と思い、あまり深く考えず、もう一眠りしようと思ったが、なかなか揺れが止まらず、いつもと違う揺れであることに気付いて、これは布団をかぶるしかないと思い、頭の上まで布短をかぶった。揺れている問、この地震は結構凄い奴かも知れない。マグニチュード6はあるだろうと考えていた。そうこうしているうちに揺れが止まり、布団の中から頭を出して見ると、部屋の中は、回復不可能の状態であった。足元には何か大きい物体が2つ落ちている。暗いからよく見えなかったので、その物体を触って見ると、テレビとプリンターであった。頭の上に落ちていたら、この顔はどうなっていただろうか、と思うとりゾクッとした。
次に、飛び起きて、台所に行って見ると、母親か泣きそうな顔をして、「すごいなあ」と言った。それが私と母親のその日の初めての会話であった。あとあと聞いてみると、台所に居た母親は「空飛ぶ炊飯器を見た」と、つぶやいていた。 |