本文へスキップ

西宮市の透析クリニック。医療法人社団 平生会 宮本クリニックです。

電話でのご予約・お問い合わせはTEL.0798-35-5071

〒662-0978 兵庫県西宮市産所町12-13


ON-line HDFについて

オンラインHDFとは
HDFとはHemodiafiltration(血液透析濾過)の略で血液浄化法の1つです。
小さな毒素を効率よく除去できる透析と大きな毒素を除去できる濾過を
組み合わせた血液浄化法です。
透析をしながら濾過をして、濾過した量と同じ量を補充液として注入します。
オンラインHDFは補充液に超純度に清浄化された透析液を使用するシステムです。
当院ではオンラインHDFを全76床中73床にてオンラインHDFを施行できます。
患者さんの栄養状態・血液検査のデータ・透析中の血圧などの状態などと
照らし合わせ患者さんに合ったHDF条件設定の追及を心掛けております。


オンライン HDFのしくみ(前希釈)


患者監視装置(コンソール)内にあるUFコントローラーはヘモダイアフィルターに送った透析液の量と同じだけの透析液を返すのが仕事です。
そのUFコントローラーによりヘモダイアフィルターに透析液を送ります。
HDではダイアライザーに送った透析液と同じ量だけ透析液を返します。
(除水0の場合)
オンラインHDFでは送った透析液を途中で2方向へ分岐させます。
片方はヘモダイアフィルターへ、片方は補液ポンプを通り血液側に注入します。
例えばUFコントローラーから送られた500mlの透析液は300mlと200mlに分けられます。
300mlはヘモダイアフィルターへ 200mlは補液ポンプを通り血液に注入します。
UFコントローラーは500ml送って500ml返しますので300ml送っても500ml返します。
するとヘモダイアフィルターから200ml除水することとなります。
200ml除水してしまうと過除水になりますので最初に分岐させた200mlを血液側に注入します。
200ml除水しながら200ml補液をしているということです。
こうすることにより大量に濾過(除水)することができます。
除水した体液と注入した透析液(補充液)の量はプラスマイナスゼロなので
過除水になることもありません。
HDでは小分子の毒素はよく除去できます。
しかし大きい毒素は除去が困難です。
HDFは大量に濾過圧をかけることにより大きい毒素まで除去が可能です。

図2  HDFのイメージ

オンラインHDFの臨床効果
☆透析アミロイドーシスによる関節痛の改善
☆皮膚掻痒感の改善
☆透析中の血圧安定
☆レストレスレッグス症候群(足のむずむず)の改善
☆食欲増進(栄養状態の改善)
☆貧血改善
☆酸化ストレスの軽減
☆不眠の改善
☆色素沈着などの症状微候の改善
☆合併症の予防

オンラインHDFの臨床効果は、上に示した項目などで改善が報告されています。


オンラインHDFの除去効率
オンラインHDFは透析(HD)では除去し難い中分子量物質の除去効率が上がるという利点があります。
代表的なターゲットとしてβ2MG(ベーターツーマイクログロブリン)があります。
アミロイド症の原因物質の1つで生命予後関連因子と言われます。
分子量11800 で HDFでは 除去率 80%を達成することが可能です。

当院にて測定したβ2MGの除去特性のHDとHDFでの比較の結果を示します。

β2MG除去量はHD平均205.9±42.4mgに比べHDF212.5±44.5mgと上昇しました。(図3)
β2MG除去率もHD75.3±6.1%に対しHDF79.1±5.3%と有意に高値を示しました。(図4)

図3 β2MG除去量        図4 β2MG除去率

近年、β2MGよりももっと大きな尿毒症物質をHDFにて除去すれば
臨床効果は上がるという報告があり、さらに分子量の大きな尿毒症物質の除去も可能になっています。

痒みについて

当院にて痒みの改善に対するアンケートの結果

当院にてHDF開始前から痒みの症状があった60名の内HDF開始後痒みの改善効果があった症例は60名中33名で、50%を超える患者さんに効果が認められました。(図5)


図5 痒み

酸化ストレス軽減について

当院にて酸化ストレス軽減効果の研究を行いました。
患者46名に対し、V型ダイアライザーを用いたHDとHDF(TDF-Hシリーズ)をクロスオーバーにて比較しました。
酸化還元型アルブミン比は還元型アルブミン比がHD期間平均52.8±7.9%に対しHDF期間において57.0±7.6%と有意な上昇がみられました。(図6)

図6 還元型アルブミン比 HDとHDF期間での比較

酸化ストレス軽減については、前希釈による蛋白結合毒素の解離による除去や希釈による血球の膜表面への接触抑制効果等の可能性が報告されています。
酸化ストレスの指標である還元型アルブミン比の上昇は前希釈HDFの優れた生体適合性の影響であり前希釈オンラインHDFが酸化ストレスの軽減効果を期待できるものと考えます。
オンラインHDFは酸化ストレスの軽減により、心血管疾患・透析アミロイドーシスなどの合併症予防・生命予後改善に繋がる可能性がある治療方法であると考えます。

透析液清浄化について
オンラインHDFでは補充液として使用する透析液の清浄度の保証が治療の前提となります。
水質の向上の為、管理技術の向上と、徹底を心掛けております。